親との同居同人
同居問題
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『親とは話が合わない、でも自分は長男』という人にとって同居を考えるのは本当に憂鬱。
しかし、同居にはメリットも多い。同居を洗濯した人たちの理由も親の都合だけでなく、子ども側の都合も大きいようだ。旭化成・二世帯住宅研究所の調査によると、同居した理由は「親の老後を考えて」「親が望んだから」「住宅取得が困難」「三世代で楽しく暮らしたい」などが上位。その他、「家事や育児で助けあえる」「経済的に助かる」「子どもの成長で家が手狭になった」といった子ども側の理由がいくつもあがっている。また、4人に1人は独自に住宅を取得できたら同居しなかったと思うと答えている。
一方、アンケート調査から同居の事情を見てみると、長男だからという正統派はやはりいまだ健在。ただし、「やむを得ないが」(季節アルバイター・31歳)といった思いをはらんでいるケースもある。親にしてみても、「同居するなら長男と」という昔風の考え方は、東北を中心にまだまだ根強く残っているのも確かだ。
最近増えてきているのが気の合う子どもが同居するパターン。「兄、姉、妹の3人兄妹の中で末っ子の私が一番両親と気が合うし、親もそれを望んでいる」(事務・独身・29歳)というあたり、「何が何でも長男に」という意固地さがとれたソフトな選択だ。
国民生活選好度調査によると、親戚付き合いや家に対する観念が希薄な首都圏では、3割が娘との同居を選んでいるという。そのほか、いずれは同居を考えているという割合も高かった。
それではなぜ別居を選ぶのか。女性の場合はやはり夫の家族=嫁姑問題が頭をよぎるし、男性の場合は仕事が絡んできて、気持ちはあってもできないという場合も多い。
また、「父母が非常に厳しいので夫も私も同居は不可能。もともと親子仲が悪いのだが、親はそう気付いていない」(主婦・29歳)といった本質的に相性が悪いケースもある。親側と同様、子ども側にも「健康状態が目で確認できるような近距離に住むつもり」(会社員・30歳)という選択肢も必要なのだろう。
同居のメリット・デメリット人
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同居することでどんなメリットがあるのか。これも独身時代と結婚後の両視点で考えてみよう。独身の場合、同居のメリットといえば、まず考えられるのが金銭面と生活面。アンケート調査によると、「給料のほとんどが自分のために使える」「生活が楽」「家事一切にかかる時間が自分の時間になる」など、学校の代わりに会社に行ってるだけで、子ども時代をそのまま引き摺った生活を続けられる。
というわけで、デメリットも子ども時代のまま。「朝早くたたき起こされる」「毎日の行動をチェックされている感じ」「何かと干渉する」「彼女を連れてこられない」「電話を聞かれる。手紙をチェックされる。話したくないときも顔を合わせなければならない」など、なんだか高校生のような話ばかり。
「口うるさく、ずっと子ども扱い。自立できない」(会社員・女・29歳)という心配は、現実にアリかもしれない。
それでも同居してしまうのは、「自立できにくい。楽なもんで・・・」(デザイナー・女・29歳)のようにメリットとデメリットの網の中に絡まって抜けられなくなっているといえそうだ。
結婚してからの同居の快適性は、完全同居か、二世帯住宅式の分離同居かでも違ってくるし、嫁姑の関係に代表されるような、お互いの性格によっても大きく変わってくる。
旭化成・二世帯住宅研究所の調査によると、子ども側のメリットとしては「自分や家族の急病のときなど心強い」「安心して旅行や外出ができる」「子どもの世話をしてもらえる」「冠婚葬祭などの対応がわかる」「快適な住まいや生活環境が得られる」「高齢者や弱者に思いやりのある子どもに育つ」「感受性豊かな子どもに育つ」などがあげられた。
親側のメリットとしても病気や外出時の安心感は上位を占め、さらに「孫の精神的な成長に役立つ」「老後の世話をしてもらえる」「家事に協力してもらえる」「家族的な雰囲気で団欒を楽しめる」といった意見も目立つ。いずれも、核家族の弊害をそのまま打ち消すような内容ばかりだ。
そして、デメリットはなんといっても、同居によって引き起こされる不幸の数々。同居についての国民生活選好度調査によると、嫁の立場で同居している女性の4割が別居を考えてことがあり、その理由は「家事や育児に対する考え方の不一致」が断然多く、「夫婦のプライバシーが守られない」こともかなり響いているようだ。アンケート調査によると、「夫と親の価値観の違い」「夫の両親の過干渉」「子育て観の違いからくる摩擦」「食事の好みの違い」などの理由が並んだ。
ただし、自分の親との同居は、妻(夫)と親との問題だけでなく、両者の間をつなぐ自分自身が最大の努力を払うという意志と自覚を持つかどうかで大きく違ってくる。